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ヤマト 労使で合意した働き方改革の内容とは? [ニュース]

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3月16日午前に始まったヤマト運輸の労使交渉は同日の19時半に合意に至った。2月10日に始まった同社の春闘は期間を延長することなく終結した。

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例年、ヤマトの労使交渉は21~22時までかかっている。長時間労働の常態化などの報道が過熱していたこともあって、今年は深夜に及ぶのではないかという見方が出ていた。早い妥結は意外だが、16日までの35日間、「これまでにないほど多くの交渉の場が設けられてきた」(ヤマトホールディングス)と労使の応酬は激しいものだったという。

 今回の労使交渉での合意内容は大きく3つある。賃金面、勤務時間や休日などの労務管理面、商品・サービス面だ。賃金は定期昇給も含めて一人平均6338円引き上げることになった。前年(5024円)に比べ引き上げ幅は拡大した。事務員を含めた基本給の引き上げ(ベースアップ)は814円と前年(1715円)を下回るが、その分を集荷・配達を担うドライバーへ重点的に配分する。集荷・配達個数やサイズなどに応じて付与されるインセンティブを2621円(前年は1049円)引き上げる。

■年間126以上の休日を「完全取得」へ

 労働時間でもドライバーの処遇改善が焦点になった。勤務時間は各人が所持する端末のオン・オフやタイムカードで管理しているが、今後は実際の勤務状況に近づけるため、営業所への入退館時点を労働時間と明確に定めた。そのうえで年間総労働時間を2448時間にし、昨年度(2016年3月16日~2017年3月15日、2456時間)を超えない計画とした。

 休暇については年間126日以上の休日を「完全取得」と明言したほか、前日の退勤後10時間は休息時間として労働させないインターバル制度も導入する。

 ただ賃金や労働時間についてはこれまでの労使交渉でも俎上に乗ってきたお決まりのテーマだ。今回の労使合意が特異だったのは、顧客への影響の大きい商品・サービスに踏み込んだ点にある。その筆頭が「時間帯お届けサービス」の見直しだ。

 1998年に導入された同サービスは、配達される時間帯を無料で指定できるものだ。現在は「午前中」「12~14時」「14~16時」「16~18時」「18~20時」「20~21時」の6つ時間帯が選択できる。導入当初は、荷物の受け取り側の利便性が向上するうえ、結果的に不在配達が減ることでドライバーの負担軽減につながることも期待され、相互にメリットを享受できるものだった。

だが、インターネット通販の拡大で宅配便の個数が急激に増え続ける昨今、この時間指定がドライバーの負担になっている。指定された時間に宅配しなければならないため、事前に効率的な配達ルートを組むことが困難になるからだ。

 携帯電話やパソコンで再配達依頼ができるようになり、即時に再配達の対応をしなければならないケースも増えた。再配達依頼を受けてその場で配達ルートを修正する必要が生じたことで、ドライバーの労働時間が長時間化する原因の一つになっている。

 またネット通販利用者には日中は働いており、夜間しか荷物の受け取りが難しい人が多い。そのため指定される時間が20~21時の1時間に集中することも現場の負担を増やしている。ドライバーと共に配達を支えるフィールドキャストと呼ばれるパート社員がいるが、夕方以降はなり手となる主婦は家事で忙しい時間帯だ。運ぶ荷物が集中しているにもかかわらず、シフトに入れる人が限られ配達員が手薄になってしまう。

 時間帯お届けサービスが導入されたのは20年近く前のことで今や制度疲労を起こしている。そこで今回の合意では6月に12~14時の時間指定を廃止し、再配達の時間指定が集中する「20~21時」を「19~21時」へ変更した。また再配達の受付締め切り時間も20時から19時に繰り上げることで、20時以降に集中する荷物の削減を図る。

■外部委託費の増加で業績を下方修正

 もう一つ、商品・サービス面では、大口法人顧客との契約内容を見直し、取り扱い数量を適正化する点も合意に至った。具体的な内容はこれから詰めるというが、繁忙期などは荷物量の上限を設け、荷主にはピークシフトを交渉することなどが検討される方向で荷物の総量抑制につなげる。

 合意の背景には昨年12月、荷物が増えすぎる悪影響を現場に加え経営者が痛感したことが大きい。12月は上旬にはお歳暮、下旬にはクリスマスや年末年始の準備でクール便を中心に荷物が急増し通常月の2倍近い個数になる。首都圏のある営業所では、過去の荷物の増加状況を基に予測、配達要員を補充し体制を整えた。だが、「ネット通販の荷物の増大は予想をはるかに超えてきた。例年なら中旬に落ち着くタイミングもあったがそれがなく、息つく暇がなかった」と振り返る。

 配達日を守るために、現場は外部の運送業者に依頼し急場をしのいだ。それがヤマトの業績に重くのしかかった。1月30日に発表されたヤマトホールディングス第3四半期決算(2016年4~12月期)で、予定していた利益を大きく下回り、大幅な下方修正を余儀なくされたのは、予想をはるかに超える荷物に対応し外部委託費が大幅に増加したためだ。



労使交渉が終わり、これでヤマトの経営陣は一息つけるかといえばそうではない。これからいよいよ社外との交渉が本格化する。交渉の焦点は値上げだ。

 ヤマトは今年9月までに、27年ぶりとなる宅急便の全面的な値上げを行う方向だ。「プライシングの適正化」として解決すべき課題の最優先事項として位置づけており、本決算発表にあわせて5月初旬に方針を発表する。

 1990年の値上げでは、もっとも小さい60サイズで100円値上げするなど8~12%程度引き上げた。2014年には適正価格の収受として、常態化していた割引をやめるという実質的な値上げで宅急便の単価は3%強上昇した。

 再配達の別料金化やエリア別の料金設定など、値上げのやり方はさまざま考えられそうだが、「本気度がこれまでとは違う」と、市場関係者では10%を超える値上げ幅を予測する声が多い。処遇改善や人手不足を考えれば、今後も人件費の負担は増す。中途半端な値上げで終わってしまえば、数年後には再び同じ事態に陥りかねない。

■同業他社もヤマトの交渉を陰から応援

 17日のヤマトホールディングスの株価は前日比2%超下落した。労使合意を受けて、賃上げや処遇改善で人件費が一段と増加することから、業績へのマイナス影響が懸念される一方、値上げ幅には依然として不透明な点が多いためだ。

 ヤマトの荷物を請け負うこともある軽貨物運送業の関係者は「ヤマトは同業他社が追いつけない宅配インフラを築いている。ここで荷主に対する下請け体質を変えなければ、業界全体が変わらない」と値上げの動向を祈る気持ちで見守っている。業界のリーダーとして中長期的なサービス維持を見据えた価格改定を断行できるか。ヤマトの動向に一層の注目が集まる。



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